告白

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告白

トイレに行こうと思った。 トイレに行きたくないと思った。 そのあとトイレに行った。 僕の人生はこんな感じだ。 いや、どんな人生だよ。 文豪かぶれの文章は置いといて。 結論から話そう。 僕は今日、告白しに行く。 緊張で胸が張り裂けそうだ。 大丈夫、大丈夫、と胸で唱えながら手をさする。 さすった手が異様に冷たい。 いや、知ってたことじゃないか、相当緊張しているようだ。 当たり前だ、人生初めての告白だ。 心臓がバックンバックン、張り裂けそうなほどなっていてもおかしくはないはず。 よし、もうそろそろ行かなければ。 重い荷物を背負ってドアを開ける。 これは告白するための小道具だ。 きちんと証明して、信じてもらわなければならない。 「あのー、すみませーん。」 おっと、腑抜けた声になってしまった。こんなんじゃ決意もボロボロと崩れてしまいそうだ。 「あのー、自首しにしたんですけど…」 そう言って重たいリュックをどかっと机の上に置く。 よかった。保冷剤が効いてるのか、まだ腐敗臭は漏れてきていないようだ。
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