1人が本棚に入れています
本棚に追加
告白
トイレに行こうと思った。
トイレに行きたくないと思った。
そのあとトイレに行った。
僕の人生はこんな感じだ。
いや、どんな人生だよ。
文豪かぶれの文章は置いといて。
結論から話そう。
僕は今日、告白しに行く。
緊張で胸が張り裂けそうだ。
大丈夫、大丈夫、と胸で唱えながら手をさする。
さすった手が異様に冷たい。
いや、知ってたことじゃないか、相当緊張しているようだ。
当たり前だ、人生初めての告白だ。
心臓がバックンバックン、張り裂けそうなほどなっていてもおかしくはないはず。
よし、もうそろそろ行かなければ。
重い荷物を背負ってドアを開ける。
これは告白するための小道具だ。
きちんと証明して、信じてもらわなければならない。
「あのー、すみませーん。」
おっと、腑抜けた声になってしまった。こんなんじゃ決意もボロボロと崩れてしまいそうだ。
「あのー、自首しにしたんですけど…」
そう言って重たいリュックをどかっと机の上に置く。
よかった。保冷剤が効いてるのか、まだ腐敗臭は漏れてきていないようだ。
最初のコメントを投稿しよう!