どうして?

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どうして?

「僕、今、夢の世界にいるみたいだ。」 「ふふっ、何言ってるの、」 「なんか、すごく、幸せって事。」 「私も幸せだよ。」 彼女は僕の頬にそっと触れて愛おしそうに笑った。 そこで、気が付いた。あぁ、これ夢だ。 まったくの、僕の幻想だ。 だって、ありえない話だ、あんなに気持ち悪がられてたのに、あんなにはっきり嫌いだと言われたのに。 でも、僕はまだ君の夢を見ている。 夢でもいいよ、夢でもいい。 夢だから僕の思い通りになるんだろ? なら、いっそのこと夢の方が良いよ。 「気持ち悪いっ! 最悪っ!二度と私の前に現れないで! この変態!!!キモいのよ!!!本当に無理っ!!!」 彼女の声が遠くから聞こえてくる。 でも、目の前の彼女は僕に向かって笑いかけてくれてる。 夢の方を信じたい、信じたいのに、 「!!!」 声が消えてくれない。 うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい 「うぅっ、お"ぇ、う"ぁ"、」 思わず嘔吐いてしまう。 胸の中がぐらぐら揺れて、気持ち悪い。 頭を抱えて声をかき消したくて、耳を塞いで頭を揺らしても消えてくれない。 すると、夢の彼女が 「どうしたの?大丈夫?」 と聞いてくれた。 そうだ、彼女は、今目の前にいる彼女は、 僕のこと、好きだよね、愛してるよね、僕のこと、僕が彼女を好きな気持ちと同じくらい好きだよね。 「…う、うんっ、大丈夫、だよっ」 目の前にいる彼女を早く僕のものにしたくて、彼女の頬に同じように触れようとした。 でも、彼女は急に僕の手から離れていく、 なんで、、、 顔を上げると 「この変態!!!」 と、彼女が叫んだ。 どうして? 僕はこんなに君を愛しているのに
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