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彼女が決めること
「ねぇ、助けて欲しいって言ったらあなたは私に何してくれる?」
「えっ、」
試されてるのか、俺。
なんて、言ったら彼女の心の中に入れる?
「ねぇ、なにしてくれる?」
「…。」
「答えられない?」
「、…」
「わかった。」
「待って、えーっと、君が嫌なこと全部取り除くよ。」
こんなんでいいのか?
「…うわべだけの言葉は嫌い。」
「へ?」
あ、嘘、ばれて…
「なんてね、ありがとう」
彼女は悲しそうに笑った。
違う、俺は彼女のこんな笑顔を見たいんじゃないのに。
「お、俺さ、そういうの考えたことないしよくわからん。」
「あー、そうなの?じゃあさっきのはテキトーか」
「そうじゃっ…」
悪戯そうに笑う彼女の後ろに黒い影が見える。
「そ、そう、かも」
「正直だね」
「…そうでもないよ、さっき嘘ついたし」
「さっきのは嘘じゃないよ。」
「え?」
「さっきあなたが私に言ったことは嘘じゃない。」
彼女は力強くそう言った。
俺はそれは彼女が決めることではないと思った。でも、彼女が決めていいことだと思った。
確かにさっきのは嘘ではない。
嘘ではないけどつい口に出たことだ。
嘘とそんなに変わらない。
でも、彼女が嘘じゃないというなら嘘じゃない。
、、のかもしれない
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