無数の支配者は雷鳴の先に

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 平原での会合は異例だった。  白銀の平原に各集落の首長が集まると知らされたとき、ミノは嘘じゃないかと我が耳を疑った。  それが目の前に実現している。  集落の西、平原が広がっている。  村の外れにつくられ置かれたベンチから、平原につくられた真四角のデッキをのぞむことができた。  いつもは見合いや恋人たちが歓談するときに使われる場所だ。たくさんの人間が目を向けられ、だが内容は耳に届かない距離にある。  首長たちの会合は、やはり衆人環視のなかおこなわれていた。遠目に会話はわからない。だが間違いが起こればすぐわかる。  ベンチのあたりでは、各首長の警護を勤める男たちが周囲を油断なく警戒していた。  警護たちから一歩引いた場所で、集落の人間たちが会合を見守っている。  首長たちは日差しを遮る厚いマントと帽子を身に着け、口と鼻を硬化プラスチックのマスクで覆っている。目元はみな険しく、話し合いが楽しいものでないことは確かだ。  緊迫した首長たちの様子を目の当たりにしたことで、過去から流れる噂が真実なのだとみな囁き合っている。  熱い風が吹き、平原の地表がちゃらちゃらと鳴った。
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