枯れた女王様の恋愛事情

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三十路拗らせ処女、脱却なるか! 覚悟を決めたその日から、何故か私は毎日緊張している。 いつもならソファに座ってるアメにハグをし、 「何読んでるのー?」 「編集進んでるーー?」 と、気軽に声がかけられたものが、座っているアメの後ろ姿を見るだけでドキドキするのだ。 な、、何で私、こんなに緊張してるの?? 自分でもよくわからない。 あぁ、10代と20代の過去の私!恋愛ってどうやってするんだっけ?教えてっ! そーーーっとアメの後ろ姿に近づく。 何て話かけようか?いつもどうしたっけ?? 後少しでアメに触れられるという距離まで来た時、アメが急に振り向いて 「あーー!また頭くしゃくしゃしようとしたでしょーーー!ダメなんだからねっ!」 と口を尖らせて言った。 、、、いつもの、、アメだ、、 私は、、いつもの私、では、、ない、、かも? 私は両手を挙げて 「違う違う!くしゃくしゃじゃないっ!」 「じゃあ何しようとしてたの?」 疑いの眼差しのアメ。 こうなったら、勢いだっ! 「えいっ!ぎゅーーーってしちゃう!」 私はアメを抱き締めた。 、、ぁ、、いい匂い、、アメってこんな匂いだっっけ?? 今まで意識した事がなかったので不意に鼻腔を刺激する。 「僕も、あけちゃん、大好きーー!」 アメも抱き締め返す。 どくん。 あれ?心臓が、、 高鳴るというか、、電気ショックをあてられた様な、、 「ね、ね、あけちゃん、ここ座って。」 「これね、最新の猫さんトイレだよー、凄くない?」 アメは私の腕を掴んでソファーに座らせ、ノートパソコンの中にある猫用品を指差す。 「そ、そうだね、へ、へぇー自動なんだぁ、、凄いねーー。」 動悸が止まらない、ヤバい。 隣に座って膝が当たる体温、、アメのふんわりした匂い、、 私は言葉にならない。返答するのも精一杯だ。 「でね?うちキャットタワーはあるじゃない?ほら、これなんて簡単に組み立てられるキャットウォークなんだよー。僕ココちゃんの為に組み立ててみようかなぁ?ココちゃんきっと喜ぶよ!」 アメははしゃぎならがら話続ける。 「でね、でね、実はこれも気になってて、、、」 私の思考回路は止まってしまっていた。 お酒に酔い始めた感覚に似てる。 殆どアメの話は入ってきてなかった。 「でさ、こないだココちゃんと遊んでいた時ね、ココちゃん失敗しちゃってさ、ふふっ。」 「、、、、、って、、あれ?あけちゃんどうかしたの?具合でも悪い??」 アメが私の身体を軽く揺さぶった。 ハッ!!やば! 「ごめん、ごめん、ちょっと考え事してた。」 私は慌てて誤魔化した。 「んーーー、でもあけちゃんちょっと体温高い様な気がする。」 アメが心配そうに私を見つめる。そして、いつの間にか握られた私の手をアメが目の前に差し出す。 うわわわ、ダメだ。まともにアメの顔が見れない! 「喉、、乾いたからかな??分かんないけど、熱はないよ。」 あぁ、なんというわざとらしい誤魔化し方、、、 アメはすっと立つとキッチンに水を注ぎに行った。 くはぁ、、やっと息が出来る、、、 こんな調子で、私もつのか? 「はい。お水。無理しちゃダメだよ。」 アメから渡されたコップに口をつける。 アメは私の顔をじっと見つめる。大きな大きな素直な目で。 その真っ直ぐなアメの目を見返して、 私は決めた。 もう迷わない。 真っ直ぐのアメに作戦なんていらない。 私も真っ直ぐになろう! 「ねぇ、アメちゃん。私、アメちゃんとセックスがしたい。」 ちゃんと、冷静に言えた。 アメは流石の急展開に目をぱちくりさせていたが、次の瞬間には優しい笑顔で、 「うん。セックスしよう!」 と返してくれた。
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