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「目新しさですか。というと、過去に例のない、取り上げられたことのない題材を見つけて発表しろ、ということでしょうか」 「それができればベストですが、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。文化祭とは、文字どおり『お祭り』ですから、ご来場いただいたお客様をいかにわくわくさせるか、どうしたらこれまで経験したことのないような楽しさを味わってもらえるかという点を最優先で考えてもらいたい。そうした願いを『TOYBOX』、すなわち『おもちゃ箱』というテーマに込めました」 「なるほど。おもちゃ箱を開ける時って、確かにわくわくしますもんね。開けた先には楽しいことしか待ってないから」 「そうでしょう。みなさんがどんなおもしろいネタを仕込んでくれるか、僕も今からわくわくしてたまらないんです、実は」 「気が早いですね、会長」  二人の笑い声に混じり、カメラのシャッター音が生徒会室に溶けていく。  主役の表情が変わるたびに、透子はシャッターボタンを押した。父のお下がりで譲ってもらったデジタル一眼はなかなか年季が入っているが、写真部の活動で使うにしては超がつくほどの高級品だ。シャッターを切る楽しさは、安価で手に入るデジカメとは比べものにならない。素人の透子だが、今だけはプロのカメラマンになったつもりで、生徒会長としての真寛を撮り続けた。
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