夕陽のなかのプラネタリウム

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「売店に戻ります? ボクが〝人間〟だったら、エポさんが気に入っていたぬいぐるみを買ってあげられたんですけどね」 「え……」 (これ、誰?)  まばたきをする。  今、私にはホオヅキが〝人間に見えているのだ〟。  影人間だから、触ろうとしても触れない。  でも、見た目は完全なる人間だ。 「ねえ」 「はい?」 「今、ホオヅキのことが人間に見えたんだけど……」 「……気のせいじゃないですか?」 「そうかなあ」  不思議な気分だった。  晴れ渡っている青空なのに、雨がふりだしたときの変な天気のような。  麦茶だと思って飲んだコップに、麺つゆが入っていたときのような。 (心がザワザワする。なんだろう、この気持ち)  そのとき、ホオヅキがいきなり声をあげた。 「え? 何ですって!」
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