僕たちの課題

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 そして提出期限の日曜日を迎えた。あれからすぐに資料を集め、課題提出の道筋は立ったけど、ついだらけてしまい、気がつけば日曜日になっていた。さらに夜になって梅木が、『バイトがガチでやべえぜ』とメールを寄越してきたので、今回の課題はあきらめたのだろうと勝手に思い込み、これで僕もやめられると安堵して、けっきょく手をつけずにいたところ、そのあとになって、『ふぅ、なんとか送れたぜ』と達成感をにじませる絵文字つきのメールを寄越してきたもんだから、僕の燻りかけていたヤル気にメラメラと炎が立ち昇り、ふだんはパソコンを起ち上げてもダラダラしてすぐに取りかからないのに、このときばかりは猛烈な集中力を発揮して課題に取り組んだのだ。  結果、どうにか期限である日付が変わる三分前にできた。  いそいで大学のポータルサイトにログインする。  よし、あとはレポートを添付して登録するだけだ。  ん? なんだこれ?  いつもはないアイコンが右下のタスクバーに見えた。時計回りの矢印の中に黄色く光る点が気になり、押してみる。  するとWindowsの設定画面に切り替わり、『再起動が必要です』というメッセージが表示された。そのメッセージの右隣には『いますぐ再起動をする』と書かれた緑のボタンがある。いまはぜったいに押してはいけないボタンだ。  再起動なんてしていたら間に合わない。ただでさえ時間がないというのに。僕は慎重に再起動をうながす画面を閉じようと、画面の右上にある×ボタンに向かってカーソルを移動させる。とそのときだ。なぜかその途中にある、押してはいけない『いますぐ再起動をする』ボタンが目に入り、あろうことかクリックしてしまったのだ。  あ、と思ったときには、時すでに遅し。  画面が暗転し、パソコンの電源が落ち、再起動をはじめた。  おい待てって。なにやってんだ。バカヤロー。いまやっちゃダメだろ。  画面は真っ暗、頭は真っ白、お先真っ暗。  もうなにが起こっているのか脳が考えることを拒否していた。手許の時計では提出期限まであと二分を切っている。
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