レンタル屋『冒険の味方』

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 俺の名前はキラ。この世界を魔王から救うために冒険をしている。冒険の途中で魔法使いのラルドが仲間になった。  駆け出しの冒険者が集う村を基点として、経験値とゴールドを稼ぐために、少し旅をしては戻るということを繰り返していた。そんな時に、お世話になっている宿屋の主人から面白い情報を聞いた。  村を北西に進んだ所に、どんなものでもレンタルできる店があるらしい。店の名前は『冒険の味方』。俺はゴールドが足りなくて、強い武器や防具を揃えることができないことにずっと悔しい思いがしていた。俺とラルドは悔しさを胸にその店に行った。  レンタル屋は煉瓦造りの家だった。森に隠れるようにひっそり建てられていた。  おそるおそる中に入ると意外に広々とした店内に、見たこともない武器や防具がたくさんあった。俺はこんなに素敵な物を借りられるのかと思って嬉しくなった。ラルドは上級魔法使いが使える漆黒のローブに興味津々だった。店内を見渡して物色していると老齢のじいさんに声をかけられた。 「お若い方、何をお探しかな? 私はこの店の主人です。このお店の名前通りに冒険者様の味方になれたら幸いです」 「強い武器や防具をレンタルしたくて」  じいさんが俺の体を一瞥すると苦い顔をした。 「大変申し訳ないことですが、お客様では強い武器も防具も装備できませんよ。強ければ強いほど重たいものなので」  俺は自分の体が弱いと言われているようで嫌だったが、じいさんが続けた言葉はそんな気持ちを吹き飛ばすようなものだった。 「勇者の称号をレンタルされてはいかがかな?」 「称号をレンタルって、どういうことですか? 冒険初心者から勇者になるには膨大な経験値が必要なはずです」 「レンタルですから、経験値は関係ありません。屈強な勇者になれば、どんな武器でも防具でも装備できます」
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