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「え、本当に一緒に暮らし始めたのか?」
仕事の相棒は、そう言って思いっきりのけぞった。
「正気か?どうすんだよ。仕事のこと言ってないんだろ?」
首を横に振りながら、相棒は「オーマイゴッド」と天を仰いだ。
「言っていいと思う?」
しれっとわたしがそう言うと、「駄目に決まってるだろう」と間髪入れずに噛みつかれた。
わたしたちの仕事は国家の、ひいては世界の平和と安全のための活動だ。
そう言うと聞こえはいいが、未成年のわたしを使っていることでも分かるように、世間には大っぴらに出来ない方法を取ることもある、大っぴらに出来ない組織なのだ。
知られてはいけない。
それはわたしと小太郎の命だけでなく、組織と世界も危険にさらすかもしれない。
「お前、この間のことで、ちょっとナーバスになってるんだよ」
相棒は丸い背もたれのない椅子を持って来て、わたしの前に座った。
この前のこと、というのは、別の国であったテロのことだ。
その国に住んでいた外国人と、彼らを訪ねてきていた友人たちが、レストランで内輪のパーティを催していた。
そこをテロリストに襲撃され、テロリストたちは彼らを人質にレストランに立てこもった。
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