1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「否定はしない」
わたしは目の前に座っている相棒に、そう答えた。
客観的に見て、わたしはあのテロ事件でのことでショックを受け、気持ちが落ち込んでいる。心が弱っている。
「心配しなくても、ずっと付き合っていけるなんて思ってないよ」
小太郎と一生続くなんて思っていない。
わたしたちは生きている場所が違うし、秘密だらけの生活が長く続くとも思っていない。
では最初から関わり合うべきではなかった。
相棒の顔がそう言っている。わたしもそう思う。だが、耐え切れなかった。
「あいつがしつこかったんだよ」
小太郎のせいにして、目を逸らせる。
相棒はそんな私の顔をじっと見ると、立ち上がった。
「あんまり、入れ込むなよ」
そう言うと、立ち去って行った。
最初のコメントを投稿しよう!