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空間とは何か
我々のいるこの空間は、例えば空気の無い真空状態であれば『何もない』のかというと、『そうではない』とされています。
例えばバケツに水を張り、手でぶら下げます。
そして、それを手首でくるっと回してみます。
すると、バケツの回転に対して水の動きが一瞬遅れて着いてくるという現象を目撃することがあります。まるで、『見えない何か』に水が押されていたかのように。
或いは、無重力空間において同じ形状の『1キロの重り』と『10キロの重り』を同時に引っ張ると、明らかに『10キロの重り』の方が遅れて着いてきます。あたかも『見えない何か』に邪魔されているかのように。
この『見えない何か』こそが、『ヒッグス場』と呼ばれるものだそうです。
私たちを……この宇宙全体がどっぷりと浸かっている途轍もなく大きなフィールド(場)です。
我々は普段、このヒッグス場を実感することはありません。それはまるで深海魚が自分の周りを水が囲んでいることを自覚できないようなものかも知れませんね。
さて。
例えば掌で机をバン! と叩いても掌が机を貫通することはありませんが、これは物理的に掌が机と激突しているからではありません。(そう見えますが)
実はこれ、机の表層にある電子が掌を構成する電子と(マイナス同士で)反発することによって「向こう側に行けない」という現象なのです。
この電気反発力というのは極めて強力で、これを強引に突破するには原爆クラスの熱量と圧力が必要になります。
しかし、ヒッグス場は電気的にプラスでもマイナスでもありません。
するとどうなるか。
ヒッグス場は電子に反発しないので原子内を『貫通する』という現象を起こします。
原子は電子顕微鏡で観察すると球体状に見えますが、その中身はほぼ『すっからかん』です。仮に原子全体の大きさを野球場ほどだとしたら、その中心に野球のボールより少し大きい程度の原子核があるだけです。あとは『空っぽ』。風船のようなものなんですね。
なのでヒッグス場が干渉するのは、原子の中央にある原子核のみなのです。原子核は実体なので、これは貫通できません。
そのため、ヒッグス場が我々に干渉する『割合』は極めて小さく、それが我々がヒッグス場というものを実感しにくい理由になっていると思われます。
この時、ヒッグス場を貫通する原子核の総量が多くなれば多くなるほど、それがヒッグス場に対しての『抵抗』として働くようになります。
『10キロの重りが動きにくい』というように。
この抵抗がつまり『質量』と呼ばれるものなのです。
逆に言うならば、ヒッグス場とは物質に『質量という意味』を与える存在とも言えるでしょう。
……それにしてもこんなドマイナーでダークな話にここまでご閲覧者様がいらっしゃるとは思ってなかったです。やはり『ダーク』という蠱惑的な響きが人の厨ニ心をほどよくくすぐるのか。
なので、解説文をなるべく分かりやすくするよう修正しながら公開しております。
明日は、『空間の歪みと引力』について。
ちょっと小難しくなります(^^;)
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