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ある日、部屋の中にバキッ!とでかい音が響いた
「フヒ……フヒヒ。そりゃあそう。確率上はそう。私が猿に負け続けることだってある」
ここ最近宇宙人は明らかに精神に異常をきたしていた
俺の言葉は届かずひたすらパソコンと向き合い段位戦を打ちそして発狂を繰り返していた
壁には穴が空き床には二つに折れたノートパソコンが破片と共に転がっている
これで良かったのかもしれない。これ以上おかしくなるのを見ているのは純粋にいたたまれない
「これじゃもう麻雀は無理だな。もういいんじゃないか。疲れているみたいだし故郷に帰ってゆっくり休暇でも」
「それは無理」
「え」
「仕事が増えた。こんな理不尽な遊戯が宇宙に存在していていいはずがない」
「え」
彼女が天井を指差すとなにやら部屋の外が騒がしくなる
悲鳴が、人々の叫び声が聞こえてくる
俺は窓の外を見た。曇り空の上から続々と円盤状の巨大な飛行物体が姿を現す
それらは天空を多い尽くし日の光を遮った
終末の景色だった
俺が麻雀を勧めなければ
そもそも俺が選ばれなければ
降り注ぐ光線に破壊され尽くす町を眺め俺は頭を抱えて叫んだ
「やめてくれえええ!」
「それは無理」
そして気付いたら俺は
荒廃した町の中で
五億円の札束に埋もれ
欠けた真昼の月を見上げていた
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