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二度見した。
土座衛門だと思ったのだ。
ぼんやりと眺めていた波打ち際に、溺死体が流れ着いたのだと。
恐怖心もあったが見過ごすわけにもいかず慌てて駆け寄ると、それは打ち捨てられたダッチワイフだった。
「これってあれでしょ?男の人が、一人でする用の」
赤面しながら君は言った。
見た目は精巧。かなりよく出来ている。自分のなかのダッチワイフのイメージがかなり古いままで止まっているので、驚異的なダッチワイフの進化に目を見張るほどだった。自分のなかのダッチワイフ観が刷新されたと言っても過言ではない。
「よくできてるんだね」
それくらい見目麗しいダッチワイフだった。ここまで流れ着くのに波に煽られ損傷も激しく、ところどころ表面の皮膚?が剥離している部分もある。
それでも彼女?の見た目の魅力は損なわれることなく、そこらの女性よりもはるかに男性諸君を虜にするだろう。下品な話だが思わずスマホで彼女の値段を検索したくなる欲求にかられる。
そんなゲスな欲望は、ふと目に留まった首に吊り下げられていたビニール袋によって打ち消された。ジッパー密封式の透明タイプなので中身が見える。
「これって」
まじまじと覗き込む君。
「大学ノートと、外付けのハードディスクドライブ」
ちょうど彼女?のたわわな胸の膨らみの上に乗っかる形になっているビニール袋を、吸い寄せられるように手にとってしまう。
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