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4・愛の隕石シャワーが、雨・アラレ!
「オイッ、若園祥子の調査書を何処に遣ったッ」
「お前が隠してるのは解ってるんだぞッ、サッサと出せ!」、大音量の蒼汰隕石が勇に直撃!勇の弱々しい言い訳が、木っ端みじんに吹っ飛んだ。
机の引き出しの奥に押し込んでおいた調査書の存在を、猟犬のように嗅ぎつけたのだ。そんな怒り狂った蒼汰の隕石シャワーを浴びてから、すでに二週間が過ぎ。
世の中はほのぼのと雛祭り・・勇の双子の娘のためにと蒼汰が買ってきた、ひな祭りのケーキが不気味だった。三色の生クリームを塗りたくったひし形のケーキの上には、雪洞と桃の花。金屏風を背おったお内裏様とお姫様が、いささか意味深に並んで座っている。
「あの時は済まなかったな」、屈託のない笑顔で詫びを言う蒼汰の魂胆が、そら恐ろしい。そんな猿芝居に騙されるほど、勇もお人好しではない。
「俺に何を頼む気だッ」、ついつい語気が荒くなった。
「うむ」、意味が解らない相づちを打った後で、勇の顔を覗き込むと信じられない様なことを言い出した。
「あの調査書が本当なら、若園祥子の身体の中にいるのは、どう考えても七重だよな」
「だったらもう一度、七重を捕縛するまでだ」と、アホ男が宣ったのだ。
「いいか、お前ッ」
「ソコのお前だよ」、蒼汰に人差し指を突き付けた。
「若園祥子は十六歳だ、判るか?」、三十七歳の男が十六歳の女子高生を誑かして関係を持つような真似をしたら、間違いなく未成年者との不純異性交游。
今はやりのパパ活だ。
祥子の中身が五十七歳の岩村七重だなどと言おうものなら、精神鑑定にかけられるのが落ち。良くて心療内科送りか、悪くすると実刑もアリだ。
「解らないようにやるさ」、だから協力しろと言うのだ。
何をする気か聞いて。「やめろ」と言いかけた口が、開いたまま塞がらなくなった。
「もう一度、言ってくれ」
「俺の聞き間違いでなければ、あの娘と婚約すると言ったのか?」、思いっ切り睨み付けてやった。
「どうやって、会ったことも無い女子高生のお嬢ちゃんと婚約するんだ」
「言えるものなら、言って見ろよ」、意地の悪い声が出た。
「まぁ、そう尖るな。婚約の前に、まず見合いをする」、もっと訳が分からないことを言い出した。
よくよく聞けば。金融界の狸オヤジ、あの影のフィクサーと悪名高い丹波吉松を賄賂で買収して、すでに仲人に立てたと言うじゃ無いか。つまり伊豆家に、祥子との見合いを申し込んだらしい。
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