私の身に、王道展開なんてあり得ません

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「だっておじちゃんとおばちゃんのご飯美味しいんだもん」 「ほら、この子はそういう可愛いこと言ってくれるから、おまけのしがいがあるよ」 「あはは、やったー」 そんな風にいつものようにおばちゃんと軽口を叩き合っていると、奥の席から「すいませーん」と声が掛かり、そうかと思えばまた新たなお客さんがやって来たりでおばちゃんが忙しなく去って行く。そうこうしている内に店内はあっという間に満席になった。 料理が来るまでの間、私はいつものようにスマホゲームを始める。 クエストをこなしながらストーリーを進めて行くRPGで、時にはギルドを組んで協力して敵を倒す。グラッフィックがとにかく綺麗でストーリー性もあり、ゲーマーでも何でもない私が唯一ハマっているゲーム。 ちなみに私は無課金で頑張る派。 「灯ちゃん、ごめんね、相席お願いしてもいいかい?」 すっかり自分の世界でスマホゲームに没頭していたら、おばちゃんに申し訳なさそうに声を掛けられた。 「うん、もちろん。どうぞどうぞ」 「いつも悪いね、ありがとうね!」 「全然いいよー」 ここでの相席はよくあることだ。今みたいに相席を頼まれることもあれば、人の席にお邪魔することもある。 ここは大体が男性の常連客ばかりで食べ終わるのも早いし回転率も良い。それにお互い相席には慣れっこだから、まったく苦ではない。
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