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「邑咲ルナちゃんって、ほんとかわいいよな?」  あれから一ヶ月ほど過ぎた大学のキャンパスで、健人が翔太にたずねる。その手には邑咲ルナの顔写真が大きく印刷されたチョコの箱。 「うん。すごいよね、最近の人気」  翔太も邑咲ルナの大ファンだ。まだデビューしたばかりだけれど、新曲もこのチョコのコマーシャルソングに使われて話題になったせいですごく売れている。  邑咲ルナはチョコはもちろん、シャンプーや保険会社のコマーシャルにも出演している。次のシーズンに放映されるドラマや映画の主演も決まったという。今、日本でいちばんのアイドルだと言ってもいいだろう。もちろん、翔太の大学でも邑咲ルナは大人気だ。  涼介の姿を見ない日々。翔太は他の友人たちと大学生活を送っている。アイドルの話をして、レポートを書き、そして就活の準備を進める、そんなたわいのない日常を。 「そういや翔太は涼介と仲良かったよな」  健人が思い出したように言った。 「なら翔太のほうが詳しいかもしれない。涼介って休学して、叔父さんの会社を手伝ってるんだろ?」  それは翔太が初めて聞く話だ。 「ここ一ヶ月くらい、涼介と会ってないんだ。なぜか顔を合わせる機会がなくてさ」 「そうなの? 仲良かったじゃん」  健人は軽く驚いた表情。
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