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「俺としてはさ、それでもいいって言ったんだけどね。リーダーは聞く耳を持たなかったってわけでさ」  涼介がバイト先の愚痴を言っているそばから、突然立ち止まって身をかがめる。またか。翔太は振り返り、涼介は道に落ちていたゴミを拾い上げるのを眺める。今日でもう何度目だろう。  涼介がこまめに道に落ちたゴミを拾うので、翔太はまどろっこしささえ覚える。  大学のキャンパス。講義と講義のあいだ。キャンパス内の道や芝生、あるいは植え込みにも、それぞれの方向へ歩いている学生たちの姿があふれる。  そんな学生たちの足元をよく見ると、ちぎられた紙やお菓子のパッケージが落ちている。うっかり落としてしまったのか、それともどこからか風で飛んできたのかわからない。そんなゴミを涼介は見つけるたびにさっと拾い上げるのだ。 「涼介も本当によくやるね」 「これもいつか自分に返ってくると思ってるからね」  少し先に置いてあるゴミ箱に、涼介は拾ったゴミを入れる。そしてまた翔太とともに歩きはじめる。 「さっきの話の続きだけどさ、それでけっきょく店長も困っちゃっってさ」 「だろうね」  翔太が相槌を打つ。 「ちょっと待っててくれ」  そう言うなり、涼介はキャンパス内に設置された自転車の駐車スペースへ向かう。倒れたままの自転車が何台もドミノ倒し。自転車の上にさらに積み重なった自転車を涼介は起こしはじめる。 「本当によくやるなあ」  翔太は感心半分、あきれ半分でつぶやきながら、翔太はひとつの記憶を思い出す。
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