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声は中性的で容姿も男にも女にも見える。僕は思わず起き上がってそいつから離れた。足音もなく急に現れたからビックリした。心臓止まるかと思った。って、もう止まってるけど。
「トキ君だね」
「何で僕の名前を……」
「何でって私は神様だからね、何でも知ってるよ」
「は?」
神様? こいつが? どう見てもただの若造にしか見えない。神様っていうのはもっと年取ってしわくちゃの顔をしてるんじゃないのか?
「悪かったね、若く見えて。これでも何千年と生きてるんだからね。まぁ生きてるのは魂だけで、この姿は借り物だけど。容姿ってのはすぐ老いるから、死んだ人間の体を代わりに纏わせてもらっているんだ」
さっきも思ったけど、僕声に出してたか? それとも心の声が聞こえてる?
「うん、聞こえてる」
「まじかよ……」
「まじまじ」
ウェーイ、と神様が言うと僕は本当にこんな人が神様なのかと疑いを持った。でも心の声は聞こえるし、何か雰囲気もそれっぽいし、何より神様が来た瞬間あんなに暗かった部屋が明るくなった。松明でも灯されたように、急に。
「トキ君、残念ながら君は事故に遭って死んだ。ご冥福をお祈りするよ」
「そりゃどうも」
「でも、君にはまだ生きるチャンスがある」
「生きるチャンス?」
僕が首を傾げると、「そうそう」と神様が言った。もしかして漫画とかであるような、事故に遭うのを回避しろ的な? そしたら生かしてやるぜ、みたいな。
「その通り! トキ君には本当はもっと長い寿命があるからね」
「あの……勝手に心の中読まないでくれます?」
「勝手に聞こえてくるんだよ、悪かったね」
僕は苦笑すると、もう何も心の中で話したりしないようにしようと決めた。多分、無理。
「それで僕はどうすればいいんですか?」
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