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「そんなの簡単。今からトキ君に私の力を使って、本来のトキ君の寿命から時間をレンタルします」
「レンタル?」
「つまり、君が生きるために戦う時間は君の本来の寿命から借りるってこと。だから寿命が少しだけ短くなっちゃう。あ、これだと返せないからレンタルって言わないか」
ははは、と神様が笑った。
「だから君に寿命がある限り、何回でもレンタル可能!」
「レンタルじゃなかったんじゃ?」
「別の用語で説明するの難しかったから、このまま続行するよ!」
「何だそれ……」
「おお、良いツッコミするねぇ」
まったく暢気な人だ。僕が溜息を吐くと「まぁまぁ」と神様が宥める。
「ということで、生きたい? それともこのままで良い?」
「そりゃ、できるなら生きたいです」
「そうだと思った。じゃ、早速始めよう。君の寿命がある限り、何度でもリトライ可能だからね。でも君の寿命が短くなることは覚えておいてね」
神様がスッと手を前に出す。僕はその手を掴むと、ぐにゃんと全身が曲がった気がした。関節の概念なんて吹っ飛んで、本当にぐにゃぐにゃになって──
気が付けば、見慣れた天井が目の前に広がっていた。鳴り響くスマホのアラーム。僕はそれを止めると、ゆっくり起き上がる。生き返った。僕は手足をぺたぺたと触って、感覚を確かめた。うん、ちゃんと存在してる。本当に生き返ったんだ。ということは、今の僕は本来の僕の寿命から時間をレンタルして生きているということになる。
僕はベッドから下りると、すぐに制服に着替えて身支度を整えた。そのまま朝ご飯も食べずに外に出る。
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