カウントダウン

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 僕は制服を脱ぎ捨て、私服に着替えると部屋に引きこもった。幸い、両親は学校を仮病を使って休もうが特に何とも言わない人だ。油断するなと神様は言ったが、これならもう大丈夫だろう。さて、今日一日を一体どうやって過ごそうか。勉強は……怠いな。よし、ゲームして遊ぼう。僕はゲーム機を手に取ると、ヘッドホンを付けてゲームを始める。  少ししてガチャッとドアが開く音が聞こえた。父が仕事に出たのだろう。ヘッドホンをしていてもシャットダウン機能は特についていないから、普通に身の回りの音が聞こえる。その後に母が家を出て行った。家の中がしんと静まり返る。  僕はゲームに集中した。そうすればあっという間に時間が過ぎて、僕は晴れて明日を迎えられる。僕がボタンを押すたびに技を披露するアバターを操作しながら、勝つと「よっしゃ」と言い、負けると「くそー」と言う。気が付けば周りの音も耳には届かなくなり、ゲームの世界にのめり込んでいた──  ハッと目を開けると、そこは真っ暗な空間だった。え、嘘。僕、死んだの? 何で? だって僕はただゲームに集中していただけで。 「それでの侵入に気が付かなかったんだね」  神様が憐れんだ目をして言う。不審者? 僕は侵入してきた不審者に殺されたってこと? そういえば、頭が少しだけズキズキする。殴殺されたのか。 「家にいれば安全だと思ったのに……これじゃあ、外にいようが家にいようが、まるで僕が今日死ぬ運命みたいじゃないか」 「必ず道はあるよ。大丈夫、君の寿命は長いんだから。ほら、もう一度」
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