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やがて山腹の開けた場所につくと、岨から見える向こうには、人の往来する里が窺えた。あと少しばかり下れば、あそこに着くだろう。しかし残念なことに、用があるのはそこじゃない。もう少し先に進まにゃならん。
地図ではこの先、川はあるが橋はない。雨に降られ大水となりゃ、船渡しも川留めをくらうだろう。晴天が続いているのが幸いか。
つまりこの具合なら、そこの里で一休みできる。というか……歩き通してきたからそろそろ限界だ。
「はぁ……よっと」
背負っていた笈を地に置いて一息。里を見下ろし、スエに話しかけた。
「やっとここまで来たな。そこに里が見える。川を渡る前に、今日は一晩そこで過ごそう……ん、スエ?」
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