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血の眷属5
優也はまるで人形のようにぐったりとした犬族から腕を引き抜くと、血で真っ赤に染まった右手でまだ左腕に食い込んだ牙を抜き取った。
そしてまだだらだらと血の溢れる牙跡がついた左腕を眺めていると、後方からの着地音に反応し振り返る。あの女性が降りてきていたのだ。
「よくやった。そんじゃこれ解いてくれ」
何も答えることはなくただぼーっとした意識の中、女性に近づき体を縛る紐のようなものを掴むと左右に引っ張り引き千切る。
すると突然、優也は電源が切れたようにその場に倒れてしまった。それを見た女性はその場にしゃがむと優也を何度かつつく。
「おーい。大丈夫かー?」
だが、返事はない。
「まぁ、無理もねーか」
納得した様子で呟くと女性は優也を担ぎ上げここまで来た方向をまた屋根伝いで戻って行った。
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