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裏舞台5
「そうよ。分かっている範囲は。だけど」
「ど、どういう意味ですか?」
まだまだ聞きたいことは山積みで質問のマシンガンを撃ち込みたい程だったがその時、マーリンの少し後ろへどこからともなく男が現れた。
お手本のようにきれいな立ち姿の男は容易に執事を連想させる燕尾服を着て、両手には白手袋を嵌めている。鋭くも知的さを感じる切れ長の目、長身でしっかりとセットされたオールバックが良く似合うその執事は男の優也から見てもカッコいいと思える容姿をしていた。
そんな男の登場にノア以外の視線が集まる。
「失礼いたします」
男はまず優也に向かって丁寧に頭を下げた。
「マーリン様、ご夕食の準備が整いました」
「あらアモ。もうそんな時間なのね」
「はい」
男から報告を受けたマーリンは優也へ視線を戻した。
「それじゃあ、話の続きはまた今度ってことで」
そう言って笑顔で手を振るとマーリンは、優也の返事は待たず近づいてきたアモと共に姿を消してしまった。
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