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イメージと現実2
「昨日のあまりのカレーでもいい?」
「カレー? なんでもいいぜ」
「すぐ温めるからちょっと待ってて」
そう言いキッチンへ行くと炊飯器を早炊きでセットして、冷蔵庫から鍋を取り出しIHコンロに置いた。時間が経つにつれカレーのいい香りが部屋中に広がる。
そしてご飯が炊けると二人分のカレーライスを盛り付けた。
「チーズかける?」
「おん」
こちらの質問を聞いているのかよく分からない返事を聞くと冷蔵庫を開けチーズを探す。と同時にカレーの定番お供を探した。
「あっ、福神漬け昨日で食べちゃったんだ」
仕方なくチーズだけを乗せて完成したとろーりチーズの熱々カレーライスを手に持ちテーブルに戻った。
ノアは目の前にカレーライスが置かれるとスプーンで掬い早速、口に運んだ。咀嚼するたびにどんどん上がっていく口角。
そして飲み込んだ時には子供のように無邪気な笑顔を浮かべていた。
「おぉー! うめ~!」
その言葉を皮切りにノアはどんどんとカレーを口に運んでいく。美味しそうに食べる彼女の隣で優也も二夜連続でありながらも美味しいカレーを食べ始める。
そしてお互いのお皿の上が半分ほど片付いた頃、水を飲んで一息ついた優也は食べてる途中で思い浮かんだ疑問を口にした。
「ねぇ、思ったんだけど吸血鬼って普通の食べ物でお腹を満たすことできるなら血を吸う必要なくない?」
「あるぞ」
一旦、答えるとノアはを口に入っていたカレーを飲み込んでから続きを答えた。口の横に米粒が付いてるとも知らずに。
「吸血鬼にとって血ってーのは力の源だ。血を吸わねーでいると再生力は下がって、力は使えなくなって最終的には動くことすらできなくなっちまう」
「へー。やっぱり吸血鬼と血はきっても切り離せないんだね」
吸血鬼と血。それは優也の中の、というより人間の吸血鬼像の源ともなるべき部分でありそこが繋がっているということに、安堵したような気持ちになり自然と笑みが零れた。
「よかったな、お前のイメージ通りで」
「大丈夫。目の前で吸血鬼がカレー食べてる時点でイメージは崩れてるよ」
「現実はいつもイメージ通りにいかないんだよ。いいこと学んだな」
「ありがとうござます」
それから残りのカレーを食べ終えるとちゃっかりデザートとしてプリンも食べた。
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