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イメージと現実3
そして胃と食欲が満たされた二人がソファに座っているとふと今朝の出来事が脳裏に蘇った。あの手首を噛まれた出来事だ。
「あっ。そういえば、今日の朝僕に何したの?」
「朝? あぁ~。お前がうるさかったから眠らせただけだ」
「刺したよね? というより噛んだよね?」
「ちゃんと傷は治したんだからいいだろ?」
そう言われ自分の手首を見遣るが確かに傷ひとつ無い。それどころか傷跡すらなく、もし彼女が夢だと言えば信じてしまいそうなほど無傷。
「本当だ。全く残ってない。どうやったの?」
「舐めた」
「なにその、唾つけたら治るみたいな感じ」
「俺たちの体液にも少しだが再生力があるんだよ。だからあの程度の傷なら舐めるだけでちゃちゃっと治るってわけだ。ちなみに、吸血鬼の血は他の血と混ざると薬にも毒にもなるんだぜ」
「吸血鬼の血ってすごいんだね……」
実際に体験したということもあり、その魔法の秘薬のような説明に疑いの目を向けようとは思わず腕を組み頷き感心していた。
「あと人間に混ざれば俺達と同じぐらいの身体能力やパワーを与えることができる。まぁ、血が抜けるまで眷族になっちまって絶対服従になるけどな」
「なんで人間だけ?」
「さぁ? 相性がいいんじゃないか?」
ノアはどうやら理由などに関しては全く興味がないらしい。一方、優也は少し気になってはいたがそれを解明するほどの知識も無かった為、諦めることにした。
すると隣でノアが大きな欠伸に大口を開けた。それはこっちまで眠くなりそうな欠伸。
「ふぁ~。眠て~」
「夕方まで寝てたのに!? って思ったけど確かに眠たいね」
人間だろうが吸血鬼だろうが抗う事の出来ない最強の睡魔に平伏した二人は寝室へと足を運んだ。寝室に入るや否やベッドに飛び込むノア。
するとその姿を見ていた優也の脳裏にある考えが過った。
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