第一章・ーツンデレ刑事と女王様ー

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 ので、大丈夫かと思っていたのだが、今度はやたらそわそわしだし、何事かと首を傾げる。 「どないしたん?」 「えと。な、何て呼べば良いのかな」  アニーとしてはヴァイス署陰契課を寿退社した今、“コーラルブルー刑事”とも呼べず、かといって急に呼び捨て、というのも許可を得たいところなのだろう。  そこでしばらく考える素振りを見せたオフィーリアだったが、別に代理できているだけだが説明も面倒なので、取り敢えずでいこうと決定する。 「フィー……って呼んだら()ぇよ」 「い、良い? 本当に良いのかな?」 「()ぇて」 「わ、分かった」  そうしてやっとの事で目的の場所に着くと、そこには既にプランナーのお姉さんがにこにこ笑顔で待ち構えていた。  横手には磨き抜かれたぴかぴかのテーブルと、奥に一脚、向かい側に挟む形で二脚の椅子が設置されていて、そこに座れという事なのだろうなと判断する。  ドアを開けて入るそこは完全に個室となっていて、遠慮なく相談を重ねるには最適だろうと推測出来た。 「こちらにどうぞ」  室内を観察していると、プランナーのお姉さんが椅子を引いて着席を促してくれる。 「あ、はい。失礼します」  アニーには、向かい側に設置された椅子の正面に座るように合図して、オフィーリアはその隣に相談相手として座る。 「では、早速なんですが。式のご予算に合わせて、プランを決めていきましょうか」  三人が着席して落ち着いたタイミングで、プランナーのお姉さんがにこやかにそう発言する。  それからすぐ、懐から名刺入れを取り出すと、オフィーリアに名刺を差し出した。
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