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職業柄、一度にいくつもの業務をこなすのは得意な方なので、提案されたプランは、まぁ金持ち仕様だなと即座に判断出来た。
出席者とか、今は決められない部分は後回しにするとして、少しアンダーテイカーを凝らしめる意味も込めて、色々決めてやろうと画策する。
「そうですね……。では今日は、取り敢えず出席者に提供する食事と、ドレスから決めていきたいのですが。後は、会場の規模も」
アニーにはなるべく恥をかかせないようにと、普段は絶対使わない、洗練された言葉遣いと仕草で対応すると、何故かミリシャが少しばかり赤面する。
何故だ。とばかりに隣を見ると、やはりアニーも、オフィーリアを見詰めて赤面しているのだ。
「あの……。何か粗相をしてしまったでしょうか?」
意味が分からないため、苦笑しながらも、素直にそう質問してみるが、ミリシャはやはり、見惚れているといった感じで返事をしてくれない。
「……アニー、何か言ってくれないかな?」
「……す」
「す?」
「凄く、格好良い……!」
視線を向けると照れながら逸らされて、でも焦りつつ応えてくれたアニーに、「何だそういう事か」と小さく息を吐く。
別に今の姿と言葉遣いが素ではない。
むしろシュバリエ辺り、よくこんな面倒な立ち居振舞いで素とか言っていられるな、とか感心しているくらいには、絶対したくない対応の仕方である。
だからして、そういう反応をされても困る。非常に困る。
「話を進めたいのですが」
「……はっ。も、申し訳ありません私とした事が! よりによって依頼主様の御伴侶様に見惚れ……違います落ち着いて私!」
内心で「……いやほんまに落ち着け」とは突っ込みを入れたものの、会話にならないのでは仕方ないとばかりに、強制的に再開させる。
「では、時間も勿体ない事ですし、決めていきましょうか」
そうしてようやくの事で、話がきちんと進んでいくのだったーー。
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