第三章・ー告白ー

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「俺が診ててやるよ」  声と共に医務室に入ってきたのは、ラキ=ウィルス=ヴェルセルクであった。  黒髪を短く揃えた目付きの鋭い色男ことラキは、入ってくるなりトウジ、そしてシェイカーに視線を向けながら続ける。 「だからあんたらは、思う存分やってくりゃ良い」 「でも、ヴェルセルク君」 「俺ぁ構わねぇ。どうやら今回は、あんたらの因縁に関係する事らしいからな。ま、本音言ゃあ見届けたいところだが、こいつに何かあっても、俺の寝覚めが悪ぃからよ」  言われてシェイカーとトウジが顔を見合せる。  願ってもない申し出だが、既に部屋の外で待機させているディアスブレイドをどうしようかとも、一瞬考えたのだ。 「まぁあいつが五月蝿くなけりゃ、一緒にいてやっても構わないぜ。多分、そっちを見学するっつーんだろうがな」  ラキは以前、イグレシオン署でディアスブレイドとは既に出会っているため、性格やら何やらを把握しているのだろう。  髪を乱暴に、がしがしと掻きながら近付くと、手近な椅子を引き寄せそのまま座る。 「俺はラキ、ラキ=ウィルス=ヴェルセルクだ」 「……トウジ=X=ムラサメだ。オフィーリアの契約主をしている」  名乗りを挨拶と受けたのか、トウジも倣うと、お互い握手をしてしばらく見詰め合う。  値踏みをするような視線を向けるトウジを真正面から見据えるラキに、やがて沈黙が破られた。 「大事な相棒だ。宜しく頼む」 「大船に乗ったつもりで、任せておけよ」  お互い通じるところがあったのか、トウジはラキを信用したようだ。ラキもまた、そこは同じなようで、二人は笑みを浮かべる。  そうしてトウジは、オフィーリアをベッドへ寝かせると言ったのだ。 「しばらく席を外す。“食事”は、もう少し落ち着いてからにしよう。……必ず帰ってくるから、安心して待っていてくれ」  そうしてトウジは立ち上がり、シェイカーにも合図をして医務室から出て行ったのだったーー。       ーto be continued……ー
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