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「俺にそれを聞かれても困る。……というか、うちはヴァイス署とは違って、何が何でも朝から出勤。というスタイルではなかったみたいだぞ」
「は? 何やねんええ加減な奴っちゃなぁ。自分とこの勤怠管理どないなっとん」
朝から出勤というスタイルは、近年では古臭いという考えもあるのだが、別に本当にサボりさえしなければ、無理に署内に一度きてから働き出す。などというスタイルは、ここイグレシオン署では、あまり積極的に取られていないように思えるのが現状だ。
オフィーリアは元来真面目な性格であるため、そこのところを理解し難いのかと思い、仕方なさそうに青年が付け加えた。
「勤怠管理は俺がきちんとこなしている」
「ちゅう事は、自分がここにくる以前はそれすらあらへんかったんやな……。それで良ぇんか、ヴァン」
「……規則を作っただけでもましだと思ってくれ」
青年の名を、アンダーテイカー=ヴァン=イレブンジーズという。近頃以前所属していたヴァイス署から、イグレシオンへと出向してきた“蒼”の一族にして、現在は課長補佐を勤めている。
肩に少しかかるくらいのウェーブがかった青い髪を揺らし。切れ長の赤い瞳が彼を“昏きもの”だと示していた。
“昏きもの”、俗に吸血鬼と呼ばれるアンダーテイカーも、例によって美青年であった。
そんなアンダーテイカーはと言えば、ブラックのスリーピースにホワイトのワイシャツと、そこにホワイトとライトブルーでまとめたストライプ柄のネクタイを締めている。
割ときっちりスーツを着こなす超絶にして堅物、更に思い込んだら一直線な性格の、真面目な“昏きもの”だ。
そんなアンダーテイカーを相手に、オフィーリアが嫌そうな顔をしながら会話を続行させる。
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