第一章・ーツンデレ刑事と女王様ー

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「ほんまに。早よきて終わらせてもらわんと、俺この後予定詰まってんねんけどな」 「予定? イグレシオンでか? そう言えば今日は非番か? 朝からきているようだが」  言われたアンダーテイカーが、初めて書類から目線を外しつつ、ちょっと驚きながら返す。  てっきり孤児院帰りに寄っただけと思っていたのだが、良く良く見れば、いつもはただまとめただけの髪も、今は後ろに少しばかり流し、ところどころ遊ばせているような、やはりフォーマルな印象を受ける出で立ちであった。  予定というのは、どこかしら畏まった場所にでも行くものだろうかと、僅かに首を傾げる。 「せや。俺にとってはめっちゃ貴重な非番の日を犠牲にしとんねん。それを無駄にする輩は、例外なく万死に値する」  ……いつの間にか俺の預かり知らんところで、本人も知らない間に相棒が命の危機に瀕している。とか、半ば呆れた様子で見返すアンダーテイカーだったが、どうやらオフィーリアは本気で言っているのが見て取れた。  しかしながら、さすがのアンダーテイカーも、オフィーリアが言う事を多少理解は出来るので、いつものように頭ごなしに叱ったり突っ込みを入れたりはしない。 「いつもならば」 「うん?」 「この時間帯には、既に全員揃ってミーティングを始めているのだがな」  突っ込みを入れる代わりにそう教えると、しばし考える仕草を見せたオフィーリアだったが、やがて何やら思い付いたのか、意地悪く笑みを浮かべながら顔を上げる。 「ほんならペナルティつけたら()ぇやん」 「ペナルティ、だと?」  急に言い出す意図が掴めず、そのまま聞き返すアンダーテイカーに、オフィーリアが続けた。
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