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お尻をパンパンと何度も黒い影の下半身がうつ。両腕を引っ張られただ行われる行為に抵抗もできず私はそれを受け入れた。 何も見えないのに、何かされていることはしっかりと頭の中で理解していた。陰部から漏れ出す血が床を汚す。黒い影の熱いものが何度も出入りするたびに痛みが脳天を貫く、涙すら渇れ果てるほど流して、口の中にある異物を吐き出した。よだれと体液で汚れたもの。もうそれがなんなのか理解するもの嫌で、でも、邪魔者がいなくなった口は黒い影からの行為に答えるように声が出た。 それが私の声だと理解してしまう。黒い影の熱いものを身体が受け入れて快楽へと変わっていく。心に大きな傷を残しながら殴られる恐怖から自分を守るためにわざと気持ちのいいふりをする。 ガクガクと震える心を隠して。黒い影が喜ぶように声をだした。何度も何度も、陰部に注ぎ込まれていく。満たされ、溢れだし、その光景を脳裏に想像するだけで吐き気がしてきた。 痛くて、辛くて、悲しくて、ただ今は身体を丸めて眠りたい。なのに黒い影は止まらない。目隠しをとられ、黒い影と対面する。熱いものが目の前にあった。あれほどやってもちっとも衰えた様子もない。 黒い影が両足を掴んで広げた、陰部にまた侵入してくる。今度は目隠しもなく、その光景を見ていた。暗闇の中なのに目はその光景を見ていた。黒い影が私と抱き合う。汗と生臭い臭い。逆らえばどうなるかわかっているので、私も黒い影の身体を抱きしめた。 まるで赤子のように抱きしめられ、下から突き上げられる。黒い影の耳元で喘ぎ声がもれる。嫌だ。嫌だと言いたいのに身体は心を守るために黒い影の言いなりになってしまう。 黒い影の背中に爪をたてた。せめてもの抵抗もそれすらも快楽なの鼻息があらくなる。黒い影が私にキスを求めてくる。髪を撫でられ、耳を触られた。胸を押し付け下から突き上げられるたびに黒い影の胸板に擦り付けた。 もう何度目かもわからない行為をされ、私はベッドにいた。黒い影はもういない。眠り、そして目覚めた時は全て終わったあとだった。これが夢ならどれだけよかったか。しかし、部屋の惨状を見ればそれが夢ではないと実感する。 破かれたパジャマも、体液と鼻水や涙でぐちゃぐちゃになったパンツも、そして私の陰部の痛み、それだけの証拠が揃っていながら何もなかったなんて言い訳がつくわけがない。 黒い影こと、連続強姦魔はすぐに警察に逮捕された。空き巣の常習犯で、その過程で女をレイプし、その快楽を忘れられなかったらしい。私はその事件の最後の被害者だった。 だけれど、それで事件が解決するわけじゃない。犯人が捕まりニュースになり、名前もよく知らないような芸能人や専門家達があれやこれやと意味のない討論をしようとも、私の傷は消えることはない。 陰口、噂話、差別、偏見。被害者にとって事件解決は終わりではない。そこからが始まりなのだ。そして私は毎夜、あの夜の夢を見る。 「ごめんなさい。やっぱり無理なの」 そう言って私の返答に夫は困ったような顔をした。 私の過去も、心の傷も全て知った上で寄り添い、結婚した。私は男性とお付き合いすることに抵抗があったけれど、夫はそんな私を何度も根気強く励ましてくれた。 喧嘩もした。意味のない八つ当たりをして、ヒステリックに騒ぎ立てる私を夫は優しく包み込んでくれる。そんな夫を私も愛おしく思ったけれど、 「セックスは無理なの」 「どうしても、無理なの? 俺は君の子供がほしよ。愛し合ってるんだからさ」 「愛し合ってるけど、怖いわ。貴方ことは好きだけど私は」 夫の瞳が黒く染まっていく。拳を握りしめ何かに耐えるように低く唸った。 「貴方を受け入れることはできない」
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