【別れの朝】

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 小鳥のさえずりが聞こえる。  ゆっくりとベッドから起きあがり、窓を開けると、朝特有のひんやりとした空気と澄んだ香りが入り込む。  外を見ると東の地平線は、僅かに暖かみを帯びた色に変わっていた。  服を着替え、あなたはパンとミルク、そして、半分に切ったリンゴを口に入れると支度を始める。部屋に流れ込む風が心地いい。  背嚢を背負い、開けた窓をゆっくりと閉じ、この先の旅で遭遇するやもしれぬ獣との対峙に備え、短刀を腰に着けた。準備は万端である。  リンゴの残り半分を口に入れた。
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