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あなたは村の外れへと続く道を歩く。
聞こえるのは鳥の鳴き声、木々のざわめき、そして、矮小な草を踏みしめる自分の足音だけだ。
自分にとって、この旅の末路がどうなるのかなんてわからない。「何かに導かれるように」とか「何者かに呼ばれるように」、そんなきっかけで始まったわけではない。ただ、奥底にある感情だけが、この足を進めるのだ。
朝靄がかかった道を歩く。
少し先に男の姿が見て取れる。村の年長者、ロイが井戸で水くみをしているようだ。
白髪の老人は、やがてあなたと目が合うと、にっこりと微笑み、手を挙げて挨拶をした。
そして汲み上げた水を樽に移し替えながら、しゃがれた声で尋ねる。
「はて。薄明を迎えたばかりの誰も目覚めぬ朝に、どこへ向かおうというのかな?」
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