ぼくのサンドイッチ

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 ぼくの席はトースターの横。正確にはトースターの置かれたキッチンカウンターの横。正方形のダイニングテーブルの、一辺がキッチンカウンターにくっつける形で置かれている。ぼくは座ったまま、こちらむきに扉を開けてトースターを操作できる。毎朝、ぼくはきみの分と合わせて二枚のパンをトースターに並べる。  六枚切りの食パンをきつね色に焼き上げる、ネジをジジリと回す加減がぼくの体には染み付いている。その加減は繊細で、ぼくは職人の気分になる。  耳のついたままの食パンを、パン切り用のまな板に乗せる。かたく立ち上がったパンの表面にマーガリンをこすりつけると、パン粉が沢山散らばる。そこにチューブの練り辛子を出して、スプーンで塗り拡げる。黄色い着色料が目にまぶしくて、ぼくは幸福な気分になる。
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