芽生えた想いの先で

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芽生えた想いの先で

 それから一週間後、玲央の元気がなくなった。  寂しそうな背中に追いついて、トンと叩いたら立ち止まる。 「どしたの? 玲央」  昔、イジメられていた私にこうして玲央は優しく声をかけてくれた。  今なら私もきっと玲央の力になれるかもしれない。 「遥ちゃんから、なんか聞いてない?」  へへっと力無く笑う玲央に首を振った。 「いやあ、告白したんだわ、実は! この間、遥ちゃんのこと聞いたのって実は俺が知りたかったからで。ちょっと髪型伊藤尊っぽいし? 俺のこと、優しいって言ってくれたこともあったし……、イケるかなあ、なんて」  クシャクシャと髪の毛をかきあげて、大きなため息をついた玲央に。 「遥は、なんて?」 「ああ、好きな人がいるからって、謝られた」  おどけたような表情を覗かせた玲央の目は、全然笑ってなどいなかった。  むしろ泣いているような、そんな気がした。 「なんて言ったらいいのか、わかんないけどさ」 「うん?」 「私の大事な幼馴染を振るだなんて、遥は見る目がないな、うん! ない!」  頬を膨らませた私に、玲央は苦笑した。 「サンキュ」  ワシャワシャと私の頭を撫でて。 「だけど、俺が振られたこととお前が遥ちゃんの親友だってことは関係ないからな? お前は仲良くしとけ? 俺もその内、ただの友達に戻れるように頑張る」  爽やかな笑顔をこぼして、玲央が前を向いて歩き出す。 「ねえ、玲央」 「うん?」 「元気出して。玲央のことを好きな人も、きっといるからさ」 「なんだよ、それ! なぐさめかよ!」  何も知らない顔で笑った玲央に、私も笑う。  ――何も知らないフリで笑った。
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