プロローグ

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「シ、――」 【あ~、やっと出た~。何度も電話したのに。徹ちゃん最近全然お店に来てくれないんだから】 「ミ、ミキちゃん!」 【いま別の女の子のつもりで電話出たでしょ? もう、この浮気者。でもしょうがない、許してあげるからいつもの官邸の地下にある秘密の抜け道通って極秘ミッションでお店に来なさい!!】  飲みたいのは山々だ。銀座のクラブ、ブラックベルベット。時間は深夜零時。ほぼ毎日欠かさず来るシアからの着信はない。さすがに明日の投開票を前に今日は電話どころではないのだろう。  LINEで激励のメッセージを1本。「僕はもう寝るよ。おやすみシア」のコメントも添えて。よし、完璧。行くか――。
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