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35歳を迎えた今、なんだか気付けばという言い方をすれば大バッシングされるだろうが、私は総理大臣を務めている。無論、歴代最年少である。それを誇らしく栄誉に思っているなんてことはこれっぽっちもない。自身の意思と実力で昇りつめたのならそう誇ることも出来るとは思うが、如何せんその範疇ではない。
今年、2032年、日韓関係は第二次最悪期を迎えている。この第二次最悪期の発端は第一次最悪期のような明確なきっかけはない。火山が噴火するように、政治的に溜まりに溜まった反感、マグマが噴出したと言った感じだろうか。きっかけがない分、落としどころもなく、関係修復への道筋は、少なからず現時点では見えないのが現状だ。
それに加え汚職と不祥事を繰り返した前内閣、支持率が十パーセント台に低迷して政権交代が現実味を帯びてきた政局に誰も沈没すると分かった船の舵をきりたいなどと思う政治家はいない。つまり私は昇りつめたわけではなく狡猾な老先生方に仕立て上げられただけである。若さと顔面偏差値がもたらす支持率回復、政権交代の回避だけを期待されて。
と、私は自分で顔面偏差値などとあたかもイケメンであるかのような発言をしてしまったが、全くもってそんなことはない。確かに、細身で185センチの高身長は一般的には誇れるかもしれないが、イケメンと肩書がつく容姿は心理的なマジックのようなものにすぎない。種明かしは、野心も額面通りにも、脂ぎったむさっ苦しい政治家に囲まれていれば本当のイケメンには到底及ばない私でもそう見えてしまうってだけの事である。
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