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だが、いまとなってはあの日は遠い夢か思い出だ。
もしも私が将来を見通せるエスパーだったなら、占い師でもいい預言者だって誰でだっていい、僅かでも将来を教えてくれたなら、私はとっくの昔にシアにプロポーズして平穏に暮らす未来を選んでいたに違いない。
たらればなんてないよな。自ら進んで政治家になり総理大臣になったから、君とそれが叶う距離が恐ろしく遠くなってしまった。そしてそれが悠久に叶わなくなってしまったのも、君も私と同じように政治家となり大統領に立候補したからでもあるんだけれど。
しかし、初めにも触れたが、これは僥倖だろうか? 日韓関係の不可逆的改善、君と共になら、叶わない平穏な暮らしと引き換えに叶う気がする。
ともあれ、シア、これだけは言いたい。いつまでも好きだよ。
思えば、想い人からの電話だろうか。スマートフォンが鳴っている。
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