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朝。ご飯のあと女体化して、着る服をあーでもないこーでもないと鏡の前で悩んでいたら瑠璃お兄ちゃんが心配そうに声をかけてきた。
「翡翠、どうしたの? そんなに着る服悩むなんて……」
「んーー。今日、新しい担任が来るからばっちりお洒落しようと思って」
「六月に!? 前の担任は?」
「なんか問題起こしたらしくって、遠いとこに行ったんだって」
「そうかぁ。なら、これはどう? ホットパンツだと涼しいだろ?」
「そう言えば瑠璃お兄ちゃんは女体化してるときの夏場はホットパンツ多いね」
「ああ! ホットパンツだとロリ好きはイチコロだからな!」
瑠璃お兄ちゃんはしまったって顔をした。
「いや。なんでもない。翡翠が可愛いと思うの着ればいいよ」
「んーー。じゃ、お兄ちゃんのオススメのホットパンツで。なぜかお父さんが沢山買ってくれたし」
「……親父め……」
なんか瑠璃お兄ちゃんから怒りのオーラを感じるけど、こういうときはほっといたほうがいい。瑠璃お兄ちゃんとお父さんの喧嘩とか、首を突っ込むだけ無駄だと最近分かったから。なんだかんだ言って瑠璃お兄ちゃんはお父さんのことが好きなのだ。
「上はタンクトップとオフショルダーで! じゃ、瑠璃お兄ちゃん行ってきます!」
「ああ。あんまり猪さんに無理させるなよーー」
パタパタとランドセルを背負って玄関まで走っていく途中、お父さんにすれ違った。
「翡翠ーー! なんて可愛いの!!」
お父さんが僕を追っかけてくるが相手してたら遅刻しちゃうからスピードをあげる。
「お父さん、ごめんね!」
ダッシュで外に出て待っていた猪さんに乗る。
「猪さん、ダッーーシュ!!」
「翡翠のいけずーー!!」
お父さんが叫んでいたけど、いけずって何?
洋服選びで時間がかかったら急がなきゃいけないのに、途中でなぜか普通に歩いているフーフーとスイスイに会った。
「翡翠、遅ーーい! 俺ら猪さん頼りなのにーー!」
フーフーが怒っている。いや僕、悪くないよね?
「やっぱり猪さんの背中乗んなきゃ寂しいもん。ちゃんと女体化してたのにーー」
スイスイはのんびりと猪さんの背中に乗る。フーフーもスイスイも女体化してて、お洒落してる。金髪の双子でお揃いの白いワンピースとか、お父さんが見たら喜んじゃうだろうなぁ。
最近分かってきた。女体化して特に優しくなるのは男の人だと。瑠璃お兄ちゃんがにょたチョコ男子やっててお仕事になるのも納得できた。伊織先生の言いつけでモデル以外の仕事もしてるみたいだけど。
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