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フーフーとスイスイを乗せた猪さんがブヒッと鳴く。気合い十分みたい。
「よーし。猪さん、行けーー!!」
タッタタッタと猪さんは駆けて遅刻ギリギリで僕たちは校門をくぐった。
「ありがとう。猪さん」
いつものように猪さんは、僕らを下ろしてから校庭でお昼寝をする。
三人で猪さんの鼻を撫でていると後ろから声がした。
「本当に猪に乗って登校してるのねぇ」
僕らが振り向くとパンダみたいなパーカーに身を包んだ女性がいた。
「えと、どちら様ですか?」
パンダパーカーの人は両手を腰にあててニカリと笑った。
「翡翠くん、よく聞いた。今日から君たちの先生の瑞希先生だ!」
この人が? パンダパーカーなのに?
「でも瑞希先生、なんでこんな時間にここにいるの? 俺ら待ってたの?」
フーフーが疑い深そうな視線を瑞希先生に送る。
「フッ。そんな訳ないだろ。瑞希先生も遅刻ギリギリだっただけだ! でも可愛いにょたチョコ男子を最初に見られてラッキーだ!」
この先生は、お父さん寄りの人かな? ってぼんやり思う。そう言えばお父さんも一応先生だった。
「ま、仲良く教室行こうぜ! えーと三人まとめてなんて呼べばいいかな?」
別々に呼べばいいのにって思ったけど、素直なスイスイが応える。
「僕ら、にょんたんずです」
「にょんたんず? ほほう。名付け親は?」
「問題起こして遠くに行きました」
「よし! ならば私が公式の名付け親になろう! にょんたんずとの授業楽しみーー!」
瑞希先生はパタパタと走っていく。僕らもそのあとをついていく。瑞希先生の走るスピードはめっちゃ遅かった。
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