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「ということで今日から皆さんの担任の瑞希です。パンダ先生って呼んでくれてもいいのよ?」
教室で自己紹介をする瑞希先生。何気にもうクラスメイト全員の名前を覚えていた。瑞希先生の自己紹介は続く。
「ちなみに先生は勉強が大嫌いです! だからこんな授業だったら楽しいなってことあったら教えて。瑞希先生を楽しませて!」
初っ端から勉強嫌いって言う先生はあんまりいないだろうなぁ。もう授業の時間始まってるのに瑞希先生は教科書を開かない。
「瑞希先生、授業は?」
たまりかねたフーフーが聞いてしまった。
「フッ。勉強嫌いに勉強しろとは面白いな。そんなに勉強したいのか!?」
「瑞希先生、茶番です」
スイスイの突っ込みが飛ぶけど、茶番って何?
「チッ。まあいい。じゃ、国語だね。翡翠くん、三十六ページ読んでくれる? 翡翠くんの可愛い声の朗読聞きたいなぁ」
微妙に瑞希先生はテンション高い。やっぱりお父さんと同じ匂いがする。多分気が合いそうだ。
とは思っても授業になったらちゃんとしててしっかり分かりやすかった。その上話しやすいので休憩時間もみんなとおしゃべりしている。
「ねぇ先生、なんで僕らがにょたチョコ男子だってすぐに分かったの? 先生を驚かせるために僕らお洒落してきたのに」
僕の問いかけに瑞希先生はニカリと笑う。
「いやぁ。実は私の友達が伊織先生のところで働いてるからね。瑠璃くんの弟が女体化してる情報はしっかり掴んでいるのだよ」
「お友達? 誰?」
「更紗って人なんだけど」
「更紗お姉ちゃんのお友達!? 知らなかった……」
「そりゃそうだよ。瑠璃くんも知らないし、にょたチョコ男子のイベントにも更やんには内緒でこっそり行ってたからねぇ」
盛り上がる僕と瑞希先生を見て、フーフーとスイスイがキョトンとしている。
「更紗お姉ちゃんって誰?」
フーフーが首を傾げる。そう言えばフーフーとスイスイは伊織先生のスタジオメンバーにまだ会ったことなかったっけ。瑠璃お兄ちゃんとお父さんと、たまにお父さんのモデルになりに来る香多お兄ちゃんとうた先生しか知らない。
「今度紹介するね。瑠璃お兄ちゃんかうた先生にお願いして」
「何だったら瑞希先生が伊織先生のスタジオに突撃しようか?」
「怒られない?」
「おお! 翡翠くん、いいとこに気がついた! 間違いなく怒られる!」
本当にノリがいい先生だ。
なんかガヤガヤとしていたら、あっという間に放課後になった。瑞希先生は授業中に女体化チョコレートを食べても怒ったりしなかった。可愛いにょたチョコ男子を見るのは栄養だとか言って。
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