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ホームルームが終わったら瑞希先生は、さてとみんなに声をかける。
「瑞希先生ね、先生になったらやってみたかったことあるの! それを叶えさせてくれない?」
「何をやるの?」
フーフーももう瑞希先生に慣れてしまって、普通に聞いてる。
「瑞希先生ね、生徒と一緒に夕日に向かって走るのやりたいの! 走るのは疲れるから歩くのでいいんだけど!」
夕日に向かって歩く。熱血そうで熱血じゃない。
「瑞希先生、昭和です」
スイスイももう慣れちゃったね。瑞希先生、楽しいもんね。
「昭和レトロは不滅なのよ! やってくんない? せめてにょんたんずだけでも!」
とか言い出したものだから、クラスメイトは全員僕らにょんたんずに押し付けて帰っていった。
付き合わせられることになった僕らは、夕日の中、校庭を四人並んで歩いてみた。
「うーん。違うな。なんかスタンド・バイ・ミーみたいになっちゃった……。ならば鉄棒やれば!」
と叫んで鉄棒に駆けていった瑞希先生は逆上がりしようとしてできなかった。良かった。先生でも逆上がりできない人いるんだ。僕もできないし。
「うぅう。逆上がりできない……」
泣きべそをかく瑞希先生。
「大丈夫だよ。僕もできないから」
「え? 翡翠くん、できないの? 瑠璃くんの弟なのに?」
「うん。瑠璃お兄ちゃんはスポーツ得意だけど、勉強駄目で僕はある程度勉強できるけどスポーツ駄目なんだ。瑠璃お兄ちゃんは僕に勉強教えるために今も必死で勉強してるけど」
そんな話をする横でフーフーとスイスイはくるくると逆上がりをしている。
「萌える! 萌えるわ!」
瑞希先生はそう言って僕をギュッと抱きしめた。
ただ、僕には萌えるってなんのことか分からない。これから楽しくなりそうなことはよく分かったけど。
七月に続くよーー!
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