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「あんたなんか、お父ちゃんもお母ちゃんもおらへんくせに!」
美弥子が投げつけた言葉に、日向子は息が止まるかと思った。
美弥子にくるりと背を向けて家まで走って帰った。
お祖母ちゃんが庭で洗濯物を取り入れていた。
「どないした?」
「美弥ちゃんが……」そこまで言うと涙がボロボロこぼれ始め、しゃくりあげ、泣き出してしまった。
「どないしたんや?」日向子の顔を覗き込んでお婆ちゃんが聞いた。
「美弥ちゃんが……あんたなんか……あんたなんか……お父ちゃんもお母ちゃんもおらへんくせにって……」その後はオンオン泣いてしまった。
「そうか……」
おばあちゃんは、しゃがんで、日向子の顔をまっすぐ見て言った。
「ホンマのことやからしょうがないな」
日向子はまた息が止まるかと思った。
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