ナエナガシのよる

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「ああ、ずいぶんとちっちゃなお(きゃく)さんだね。めずらしいもんだね。一曲(いっきょく)()いていくかい?」  (おこ)られると(おも)った。だって、ぼくはどう()てもこの()にふさわしくない()どもだったから。それにどう()てもお(かね)もちのおぼっちゃんじゃなくて、ストリートチルドレンだと(おも)われてもしかたないくらいみすぼらしい子どもだ。そんなぼくをやさしくまねいてくれた。このギターを()いた(おお)きな(ひと)(みせ)のオーナーかなと(おも)ったんだけど、ちがっていたみたい。(みせ)のコックにへこへこと(あたま)()げてまで、ぼくのことをかくまってくれたようだ。そしてあまりふくらんでいないサイフからくしゃくしゃの千円(せんえん)をとってコックに(わた)していた。
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