5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、ずいぶんとちっちゃなお客さんだね。めずらしいもんだね。一曲聴いていくかい?」
怒られると思った。だって、ぼくはどう見てもこの場にふさわしくない子どもだったから。それにどう見てもお金もちのおぼっちゃんじゃなくて、ストリートチルドレンだと思われてもしかたないくらいみすぼらしい子どもだ。そんなぼくをやさしくまねいてくれた。このギターを抱いた大きな人が店のオーナーかなと思ったんだけど、ちがっていたみたい。店のコックにへこへこと頭を下げてまで、ぼくのことをかくまってくれたようだ。そしてあまりふくらんでいないサイフからくしゃくしゃの千円をとってコックに渡していた。
最初のコメントを投稿しよう!