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「不安は、日向野くんが毎回最後まですることを求めることです」 「それは不満じゃないの?」 「不満、でもある」 「希望は?」 「三回に一回、もしくは四回に一回」 「無理。だって週に一回しかしないのに、三回とか四回に一回だったら、ほぼ月一じゃん」 「それくらいが普通でしょう」  おしゃれなラザニアを食べながらするには少々下品な話題が熱く繰り広げられる。 「でも最後までするほうが気持ちよくない?」 「よく、ないです」  とんでもない質問をされて、つい嘘をついてしまう。  嘘はつくのもつかれるのも大嫌いだったはずなのに、最近の僕は、日向野くんといるとき、すぐ見抜かれるような嘘をつくようになってしまっていた。 「ふーん」  このふーん、が厄介で、日向野くんはそう言ったあと必ず目をすがめ、僕の表面に浮きだしてくる嘘を探すように、全身をくまなく見つめてくる。 「ほんと?」 「ええ」 「ラザニアってさ、作るのに時間かかるじゃん」  突然、話題が変わったことに驚きつつも、内心なにを言われるかとドキドキしていた。
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