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2、就活に対して悩む大学生
しとしと…。ぽつぽつ…。
今朝から降り続く雨が窓に小さく打ちつける。
今日、カフェは定休日。
しかし相談所は年中無休だ。
なぜなら、日々、悩んでいる人がひっきりなしに来店してくるからだ。
お客様が来る合図は、壁の掛け時計の鐘が決め手だ。しかし今日は1度も鐘の音は聞こえていない。
珍しく今日はもう閉めようかと思ったときだった。
ボーン、ボーン…。
鐘が鳴った。
(閉めようと思ったときに鳴るということは、重大な悩みごとなのかもしれない。)
そう思い、急いで支度をした。
数分後、リクルートスーツ姿の男性が店内に入ってきた。まだ若い。おそらく、四大生だろう。彼は、入口に立ち止まってこちらを見た。
「こんにちは。ようこそ、カフェ兼お悩み相談所Cozsulへ。ご来店いただきありがとうございます。」
私はカウンター越しに礼をして、お客様を迎え入れた。
「カウンター席とテーブル席、どちらに致しますか?」
「カウンター席でお願いします。」
「かしこまりました、こちらへどうぞ。」
私が促すと、彼は頷いてカウンター席に座った。
メニュー表をテーブルに置く。
「ご注文がお決まり次第、お声がけください。」
深く礼をしてカウンターの中へ戻った。
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