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「いただきます。」
お客様は、手を合わせた後に飲み始めた。
1口掬って、目を輝かせた。
「美味しい!」
彼は、満面の笑みで笑った。
お客様は、そのままミネストローネを飲み続け、お皿を空にすると「ごちそうさまでした。」と手を合わせた。
しばらくして、私が後片付けをしていると、彼が「少し、話を聞いていただけますか?」と聞いてきた。
「もちろん、お聞き致します。どのようなことでしょうか?」
私は手を止めて、お客様の隣の椅子に腰かけた。
「……実は、就活のことで悩んでいるんです。
俺は、将来エンジニアになりたいんですけど、1口にエンジニアといっても企業によって扱う種類が違うってことに説明会に行って解ったんです。……それで、どんなエンジニアになりたいか考えていたら自分が何をしたいのか分からなくなってしまったんです。
家族に相談しても良かったんでしょうけど、昔から仲が悪いことが多いので頼る気になれなくて。友達の場合は、もしその人が内定とってたらこっちが焦りそうで嫌で言えてなくて。
自分独りで抱え込んでたら、何をどうしたいのか分からなくなっていたんです。」
彼は、そう言って俯いた。
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