12人が本棚に入れています
本棚に追加
3、ある恋人たちの悩み
11月。紅葉が色づき、紅や黄に雲一つない秋の青空が映えている。
時折、程よく冷たい風が店内の窓を通して入ってくる。
お客様がいない時間は、1人で紅茶を淹れて嗜むことが多い。今日は、レモンティーにした。
1口飲み、息をついた時だった。
ボーン、ボーン…。
掛け時計の鐘が鳴った。
(お客様がいらしたようですね。)
カウンターに立って、相手が来るのを待った。
チリンチリン、とドアベルが鳴ってお客様が入店してくる。
今回は2人組だった。女性と男性1人ずつ。
彼らはテーブル席に座った。
「いらっしゃいませ。ご注文がお決まりになりましたら、お声がけください。」
メニュー表をテーブルに置いて、立ち去った。
しばらくして、声がかかりメモを持ってお客様のもとへ向かう。
「ご注文は如何されますか?」
「苺のタルトと、ミントティーをお願いします。」
女性が先にオーダーする。
「アップルパイと、アールグレイのアイスティーでお願いします。」
男性が答えた。
「ご確認致します。苺のタルトとミントティー、アップルパイとアールグレイのアイスティーがそれぞれ、お1つでお間違えないでしょうか?」
私がそう聞くと、2人とも頷いた。
「かしこまりました。できあがりまで、ごゆっくりお待ちくださいませ。」
礼をして、その場を去った。
最初のコメントを投稿しよう!